わりて訴え出で、したがって殺されしたがって訴え、四十七人の家来、理を訴えて命を失い尽くすに至らば、いかなる悪政府にてもついには必ずその理に伏し、上野介へも刑を加えて裁判を正しゅうすることあるべし。
かくありてこそはじめて真の義士とも称すべきはずなるに、かつてこの理を知らず、身は国民の地位にいながら国法の重きを顧みずしてみだりに上野介を殺したるは、国民の職分を誤り、政府の権を犯して、私に人の罪を裁決したるものと言うべし。幸いにしてその時、徳川の政府にてこの乱暴人を刑に処したればこそ無事に治まりたれども、もしもこれを免《ゆる》すことあらば、吉良家の一族また敵討ちとて赤穂の家来を殺すことは必定《ひつじょう》なり。しかるときはこの家来の一族、また敵討ちとて吉良の一族を攻むるならん。敵討ちと敵討ちとにて、はてしもあらず、ついに双方の一族朋友死し尽くるに至らざれば止まず。いわゆる無政無法の世の中とはこのことなるべし。私裁の国を害することかくのごとし。謹《つつし》まざるべからざるなり。
古《いにしえ》は日本にて百姓・町人の輩《はい》、士分の者に対して無礼を加うれば切捨て御免という法あり。こは政府
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