っとも賤しむべき部分の得なれば、毫《ごう》もこれを誇るに足らず。上流の学校に比較せんとするには別に勉むるところなかるべからず。ゆえに学校の急務としていわゆる取締りの事を談ずるの間は、たといその取締りはよく行き届くも、けっしてその有様に満足すべからざるなり。
 一国の有様をもって論ずるもまたかくのごとし。譬《たと》えばここに一政府あらん。賢良方正の士を挙げて政《まつりごと》を任し、民の苦楽を察して適宜の処置を施し、信賞必罰、恩威行なわれざるところなく、万民腹を鼓して太平を謡うがごときは、まことに誇るべきに似たり。然りといえども、その賞罰と言い、恩威といい、万民といい、太平というも、悉皆《しっかい》一国内の事なり、一人あるいは数人の意に成りたるものなり。その得失はその国の前代に比較するか、または他の悪政府に比較して誇るべきのみにて、けっしてその国悉皆の有様を詳《つまび》らかにして他国と相対し、一より十に至るまで比較したるものにあらず。もし一国を全体の一物とみなして他の文明の一国に比較し、数十年の間に行なわるる双方の得失を察して互いに加減乗除し、その実際に見《あら》われたるところの損益を論ず
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