《いや》しきものと言わざるを得ず。人の品行少しく進むときはこれらの醜談はすでにすでに経過し了して、言に発するも人に厭《いと》わるるに至るべきはずなり。
方今日本にて学校を評するに、「この学校の風俗はかくのごとし。かの学塾の取締りは云々」とて、世の父兄はもっぱらこの風俗取締りの事に心配せり。そもそも風俗取締りとはなんらの箇条をさして言うか。塾法厳にして生徒の放蕩無頼を防ぐにつき、取締りの行き届きたることを言うならん。これを学問所の美事と称すべきか。余輩はかえってこれを羞《は》ずるなり。西洋諸国の風俗けっして美なるにあらず、あるいはその醜見るに忍びざるもの多しといえども、その国の学校を評するに、風俗の正しきと取締りの行き届きたるとのみによりて名誉を得るものあるを聞かず。
学校の名誉は学科の高尚なると、その教法の巧みなると、その人物の品行高くして、議論の賤しからざるとによるのみ。ゆえに今の学校を支配して今の学校に学ぶ者は、他の賤しき学校に比較せずして、世界中上流の学校を見て得失を弁ぜざるべからず。風俗の美にして取締りの行き届きたるも学校の一得と言うべしといえども、その得は学校たるもののも
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