輩はもと文才ある人なれば、翻訳書を読み、ほぼ洋学の味を知りて後に原書を学ぶようにせば、苦学をも忍びて速やかに上達するはずなれども、ひっきょう読むべき翻訳書乏しきゆえにこの弊を生ずるなり。漢学生の罪にあらず。ゆえに方今、我が邦にて人民教育の手引たる原書を翻訳するは洋学家の任なり。
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右は我が邦今日の有様にて洋学を開く次第を述べたるのみ。年月を経るにしたがい学風の進歩することあらば、その体裁《ていさい》もまた改まるべし。
明治三年|庚午《かのえうま》三月[#地から2字上げ]慶応義塾同社 誌《しるす》
底本:「福沢諭吉教育論集」岩波文庫、岩波書店
1991(平成3)年3月18日第1刷発行
底本の親本:「福沢諭吉選集 第3巻」岩波書店
1980(昭和55)年12月18日第1刷発行
入力:田中哲郎
校正:noriko saito
2007年8月16日作成
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