ことにその調子の高いこと類がない。又この歌に続く次の二首があつて遺憾なくその日の大観が再現されてゐる。曰く 類ひなき富士ぞ起れる清見潟駿河の海は紫にして 大いなる駿河の上を春の日が緩く行くこそめでたかりけれ
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春の海いま遠方《をちかた》の波かげに睦語りする鰐鮫思ふ
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終日のたりのたりかなでは曲がない。そこで遥か遠方に鰐鮫の夫婦を創造して彼等に睦語りをさせることにより、春の海の情調を具象させるのである。
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君に教しふ忽忘草《なわすれぐさ》の種蒔きに来よと云ひなば驚きてこん
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この君は親しい女友達である。少しあの方の足が遠のいてゐる由の御たよりに接し意外に思ひます。しかし何でもないことですよ。斯う書いてやつて御覧なさい。春が来ました、忽忘草の種を蒔きに来て下さいと。それだけで驚いて来ますよと書き送る形であらう。これも明治の歌を代表するものの一つで、立派なクラシツクである。
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薄曇り立花屋など声かけん人もあるべき富士の出でざま
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やはり鉄
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