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 昔の東京なら駄菓子屋といふやうなものであらう。干杏干胡桃何れも山の信濃の名産、それを並べた店の四尺程のけちな棚を天下の秋風が吹く光景である。之は単なる写生の歌ではない、秋風が吹くといふ所に作者が強くあらはれて抒情詩の一体を成すのである。

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我と燃え情火環に身を捲きぬ心はいづら行へ知らずも
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 我と我が自ら燃やした情火ながら全身がそれに包まれてしまつた。さて心王は一体どこへ行つたのだらう、行へが分らない。これも我が民族の持つ最上級の抒情詩の一つで既にクラシツクになつてしまつた。私達は唯口誦することによつて心の糧とするばかりである。

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更科の夜明けて二百二十日なり千曲の岸に小鳥よろめく
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 前夜は出でて心ゆくまで姥捨の月を賞したのに、その夜が明けて今日は二百二十日だ。而して急に野分だつた風が吹き出し千曲川の岸では風の中で小鳥のよろめくのが見える。この歌ではよろめくが字眼でそれが一首を活かしてゐるのであるが、更科の夜明けての一句も大した値打ちを持ち、この一句で環境
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