、我は呆然として女を思ふ、白露の玉を見ながらといふこれも平安期の情景の一つ。

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ほのじろくお会式桜枝に咲き時雨降るなる三島宿かな
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 [#全角アキは底本ではなし]御会式桜とは池上の御会式の頃即ち柿の実の熟する頃に返り咲く種類の桜のことでもあらうか。旅の帰りに三島明神のほとりを通ると葉の落ちた枝に御会式桜が返り咲いてゐて珍しい、そこへ時雨が降り出した。それは富士の雪溶の水の美しく流れる三島宿に相応はしい光景である。この歌の調子の中にはさういふ心持も響いてゐる。

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輦《てぐるま》の宣旨これらの世の人の羨むものを我も羨む
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 手車に乗つて宮中へ出入することを許す宣旨であるから高い位の意味で、世人の羨む高い位を私も羨む。私は美しいからそれだけでよささうなものだが、手車で宮中へはいれる様な身分ならばとそれも羨しくないことはない。その位な想像をしてこの歌を読むもよからう。

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川の洲の焚火に焦げて蓬より火の子の立てる秋の夕暮
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 十二年の仲秋信濃の上山
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