鳥の羽の如き髪に結ばれ我は袖振る
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 男の元服に相当する様な風俗でもあつたものらしく、十五になつたので鴛鴦鳥を思はせる様な髪をゆはせられた、さて鏡に向つて自分もいよいよ一人前の女になつたのかと喜び勇んだことを思ひ出した歌でもあらうか。まことに素直な歌で気持がよい。

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湖の舟の動きし束の間に我唯今を忘れけるかな
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 野尻湖でよまれた歌であるが、何とでも解釈が出来よう。私は今、舟の動いた拍子に過ぎ去つた日が忽然と帰つて来て現在に変つた趣きに解いて置かうと思ふ。それにしても何といふ旨い歌だらう。一生に一首でよいからこんな歌が作つて見たい。

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天竺の流沙に行くや春の水浪華の街を西す南す
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 昔の大阪、水の大阪、その大阪の春の情調を表現しようといふ試みであらうが、それが見事に成功し、既にクラシツクとして我が民族のもつ宝物の一つになつてゐる歌。いくら晶子さんでもざらに出来る歌でないこと勿論である。天竺の流沙はゴビの沙漠の事であらうが、そこへは沢山の川が流れ込んで消えてしまふ
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