な初秋雨の印象である。その鮮かさは岩佐又兵衛の墨絵でも見るやうだ。

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大きなる桐鈴懸を初めとし木の葉溜りぬ海の幸ほど
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 麹町の家は崖下の低い所にあつたので、秋の暮ともなればこの歌のやうに狭い前庭は落葉で埋つたことであつたらう。「海の幸ほど」は面白い、網の底に魚の溜つた光景で、落葉が生きてぴしぴしはねかへる概がある。

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聖書にて智恵の木の実と読みたりし木の実食らひて智恵を失ふ
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 聖書にある智恵の木の実とは何であるか。アダム・イヴはそれを食べた許りに智恵が出てその罰として天国を追はれた。しかし私は同じ木の実を食べながら反つて智恵を失ひ愚かしい行をも敢てするやうになつた。否々私許りではない、恋をするほどのものは皆智恵を失つてしまふのである。

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櫨の葉の魚のさまして匍ひ寄るも寂しき園となりにけるかな
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 櫨の葉は真赤だから、魚としたら錦魚か緋鯉といふ所であらう、それが池の中でなく、地上を匍ひ歩くのであるから思つた許りでも寂しいのに、それが歌の
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