下げ終わり]

 我が行く路は荊棘の路であつて、因習に循ふ諸人の道にそれが続くとはどうしても思はれない。けれども私はかまはずそれを進んでゆく。晶子さんはこの心構へで一生を貫き通した人であつた。洵に壮なりといふべきである。

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山の馬繋ぐ後ろを潜るには惜しき我身と思ひけるかな
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 越後関山の関温泉へ行つた時作つたもの。たまたまかういふ破目に陥つたのであるが、何が幸ひになるか分らない。こんな面白い歌もその為に生れて来る。矜誇もこの位の程度なら誰でも同感出来るであらう。

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海は鳴り人間の子は歎けども瞬きもせぬ沙の昼顔
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 晶子中年の近代調を代表するものの一つで、この頃から晶子歌の世間性がなくなり、其の傾向は年を追ひて甚しくしまひには時代と詩人とは全くの他人となり終つたのである。それであるから世間の知つてゐる晶子歌は若い頃の比較的未熟なものに限られることになり、作者は常にそれを歎いてゐたが、しまひにはそれも諦めてしまひ、人に読んで貰はうなどと思ふことなく唯ひたぶるに詠みまくつて墓へ這入つてしまつた
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