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 安宅がすんだ、判官は通過した、緊迫が解けた、まあよかつた、ほつとして一息つくと、七月の夜も既に更けて涼しくなつてゐた。

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切崖の上と下とに男居てもの云ひ交はす夕月夜かな
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 これも富士見町辺で見掛けられた小景を其の儘切り取つたもの、ありのすさびの一興である。

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鴬や富士の西湖の青くして百歳の人わが船を漕ぐ
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 大正十二年七月夫妻は富士五湖に遊んだ。精進ホテルはあつたが外人の為に出来てゐたので、日本人の遊ぶものまだ極めて少い時代であつた。西湖なども小舟で渡つたのでこの歌がある。西湖の色は特に青くもあり、環境は一しほ幽邃で仙骨を帯びてゐる許りでなく少しく気味のわるい様相をさへ呈してゐる。そこで舟を漕ぐ船頭迄百歳の人のやうな気がするといふのであらう。

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勢ひに附かで花咲く野の百合は野の百合君は我に従へ
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 文句を云はずについていらつしやいといふべき所を女詩人らしくいふと斯うなるのである。斯う云はれて見ると附いて行かざるを得ないであ
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