病に托し情景相かなはせた歌だ。
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手力《たぢから》の弱や十歩《とあし》に鐘やみて桜散るなり山の夜の寺
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山寺の夜桜を賞する女連れが試みに鐘をついた所、嫋々として長く引くべき余音が僅に十歩行くか行かないうちに消えてしまつた。女の力なんて弱いものねといふほどの興味を表へ出した朧月夜の日本情調である。
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雲にして山に紛《まが》ふも山にして雲に紛ふも咎むる勿れ
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二つ前のそれと同じ時湯本で早春の箱根に雲の往来する姿を朝夕眺めつつ、或時は雲にして山に紛ひ、或時は山にして雲に紛ふ変幻極りない山の事象を其の儘正抒し、それをかりて同時に現象世界の不合理不都合を許容しようとする心持をさへ咎むる勿れといふ一句で象徴したものと解せられないこともない。
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伽藍過ぎ宮を通りて鹿吹きぬ伶人めきし奈良の秋風
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山川草木一切成仏といひ有情非情同時成道などといつて大乗仏教には人とその他とを区別しない一面がある。晶子さんは大乗経典も一通り読んで居られるが、晶子さんの同
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