ことであらう。孝標の女は源氏物語のフアンでこの点晶子さんと同好のよしみがありお気に入りの一人と思はれる。

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紫に墨しみ入りて我が心寂し銀糸の紋を縫はまし
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 紫は作者の最も好む色でそれを以て心の象徴としてゐた処、いつしか時の流れの墨の色がしみこんで大分くすんでしまつた。それだけでは少し寂しすぎるので、銀糸で縫ひ取りでもしようといふのであるが、さて銀糸の紋とは何であらうか。李白でも読まうか、絵でも習はうか、梅蘭芳を見に行かうか、それとも温泉へでも行かうか。詩人の心も欲しいものは好ましい刺戟であらう。

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屋根の雪解けて再び雨と降る更に涙にならんとすらん
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 屋根の雪(第一変化)の解けて雨垂れになつて落ちる(第二変化)のを眺めてゐると、第三番目に変化したら何になるのだらうと考へるに至つた。その時は疑もなく人の涙線に入つて涙となつて流れる様に思はれる。もとは同じ水蒸気であるからさうなくてはならぬのであらう。

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薔薇少し米《よね》用なしと法師より使来たらばをかしからまし

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