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若さが退くと共に心の平静が得られるやうになつたが、同時に心躍りもしなくなつてそれは我ながら寂しいことであつた。それに如何であらう。私を侮るものが出て来た。私は人の侮りを受けた体験が今度初めてで少し心が躍つて来て嬉しい。薬と侮りとは凡そ似てゐないがその作用は相類してゐないでもない。
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夏の夜の鈍色の雲押し上げて白き孔雀の月昇りきぬ
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夏の夜の月の出の印象で、まことにはつきりしてゐる。象徴でも写生でもない、唯印象を伝へんとするもので、この作者以外には余り例が多くない風だ。拙くやると比喩になつてしまつて著しく価値が低下する。この風は先づ余りやらぬ方が賢い。
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かぐや姫二尺の桜散らん日は竹の中より現はれて来よ
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二尺の桜といふから鉢植の盆栽の桜か何かであらう。その可哀らしさ美しさは如何見ても昔話のかぐや姫の化身としか思はれない。そこでこの歌になるので、この桜が散つたらす早く竹の中に忍び入つて、今度は人間のかぐや娘として出て御いでなさいといふのであらう。不思議な空想で
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