象もこの位はつきり出ると神に近い。この時の作も一つ、 海見れば淋し出島の和倉にて北陸道の尽くるならねど 寒い一月の北の入海の心持がよく出て居る歌である。

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腹立ちて炭撤き散らす三つの子を為すに任せて鶯を聞く
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 鴎外先生は決して子女を叱らなかつたさうであるが、晶子さんもまたさうであつたらしい。その面目がこの歌に躍如としてあらはれてゐる。鶯を聞くといふからもうこの頃は中六番町に移られてゐたことであらう。

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わが踏みて落葉鳴るなり恋人の聞く音ならばをかしからまし
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 昭和四年頃の作で作者五十二歳、血のにじむ様な猛修行をした後に恋を卒業した作者が昔を忘れず今の恋人に聞かせたい様な趣きの見える面白い歌である。さうして若い恋人が聞いたら、この落葉を踏む音が天にも昇るやうに響くかも知れないと思ふのである。

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吉原の火事の明りを人あまた見る夜の町の青柳の枝
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 余り繁華な町とは思はれないが青柳の枝は柳の並木らしいので六番町ではないかも知れない。その頃吉
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