つてゐないのだと他人は簡単に極めてしまつて疑はない。しかし妻である私はさうは思はない、半信半疑である、死んだやうでもあり、そのうちに旅から帰つて来さうでもある。他人の様に簡単に片づけられないのが妻の場合である。
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麦の穂の上なる丘の一つ家隈無く戸あけ傘造り居ぬ
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恐らく昔の渋谷の奥の方ででも見た実景を単に写生したものであらうが、隈なく戸あけが旨いと思ふ、景色の中心がよく掴まれてゐる。
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人の世に君帰らずば堪へ難し斯かる日既に三十五日
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如何かしてまた帰つて来るうな気がして毎日を送つて居るのだが、ほんたうにこの世へは帰らないのだとすればそれは堪へ難いことである。斯ういふ空頼めを抱いての日送りも既に三十五日になるが何時迄続くのであらう。
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十三の絃弾きすます喜びに君も命も忘れける時
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恋愛を超え、生命を超えて芸術の三昧境に入る心持であるが、その場合音楽が一番適当なので昔のこと故十三絃の箏を選んだのであらう。実際晶子さんの琴を弾くのを聞い
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