水見る夕
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 春宵一刻千金とまでは進まぬその一歩手前の夕暮の気持を象徴的に詠出したものであらうか。男は黄の大馬――そんなものはあるまいが――に乗り女は小さいから驢馬に乗り、それが並んで川に映つてゐる。春の夕の心が詩人の幻にあらはれてこんな形を取つたのであらう。

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寺泊馬市すてふ海を越え佐渡に渡さん駒はあらぬか
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 今日は馬市が立つといふので表がざわめいてゐる。一躍して海を越え佐渡に渡すことの出来るやうな駿馬が多くの中には一頭位居ないであらうか。佐渡には旧友渡邊湖畔さんが蹲つて居られるが、私が突然行つてあげたら喜ばれるだらうになどいふわけである。

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思はるる我とは無しに故もなく睦まじかりし日もありしかな
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 初めの頃の事を思ふとまだ恋などといふ形も具へずに子供同志の何の理由もなく唯睦じく語り合つたのであつた。何時頃からそれが恋になつたのであらうか。それは兎に角としてさういふ初めの頃の事も懐しく思ひ出される。善良なやさしい非難の余地のない斯ういふ歌も作者はいくつか作
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