が死をまねき罪が罪を深めてゆく今
一すぢの光はいづこへ突抜けてゆくか
感涙
まねごとの祈り終にまことと化するまで、
つみかさなる苦悩にむかひ合掌する。
指の間のもれてゆくかすかなるものよ、
少年の日にもかく涙ぐみしを。
おんみによつて鍛へ上げられん、
はてのはてまで射ぬき射とめん、
両頬をつたふ涙 水晶となり、
ものみな消え去り あらはなるまで。
ガリヴァの歌
必死で逃げてゆくガリヴァにとつて
巨大な雲は真紅に灼けただれ
その雲の裂け目より
屍体はパラパラと転がり墜つ
轟然と憫然と宇宙は沈黙す
されど後より後より追まくつてくる
ヤーフどもの哄笑と脅迫の爪
いかなればかくも生の恥辱に耐へて
生きながらへん と叫ばんとすれど
その声は馬のいななきとなりて悶絶す
家なき子のクリスマス
主よ、あわれみ給へ 家なき子のクリスマスを
今 家のない子はもはや明日も家はないでせう そして
今 家のある子らも明日は家なき子となるでせう
あはれな愚かなわれらは身と自らを破滅に導き
破滅の一歩手前で立ちどまることを知りません
明日 ふたたび火は空より降りそそぎ
明日 ふたたび
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