ンを穿いてゐる男たちの恰好も、無性に厭だつたが、急に濃厚な化粧をして無知の衣裳をひけらかしてゐる女も私をぞつとさすのだつた。
見捨ててしまへ! こんな郷土は……
私はいつも私に叫んでゐたものだ。
日々の糧に脅かされながら、今も私はほとほとあの田舎の路を憶ひ出すのだ。ひだるい足どりで歩いて歩いて行つた路は、まだはるか私の行手にある。
底本:「日本の原爆文学1」ほるぷ出版
1983(昭和58)年8月1日初版第一刷発行
初出:「文壇」
1947(昭和22)年8月号
※連作「原爆以後」の1作目。
入力:ジェラスガイ
校正:門田裕志
2002年7月20日作成
青空文庫作成ファイル:
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