オらえてくれることになっていました。
私はまず、二十人の給仕人をつまみ上げて、テーブルの上に乗せてやります。すると、下には百人の給仕が控えていて、肉の皿や葡萄酒や樽詰などを、それ/″\肩にかついで待っています。私が欲しいという品を、上にいる給仕人がテーブルから綱をおろして、うまく引き上げてくれるのです。肉の皿は一皿が一口になり、酒一樽が私にはまず一息に飲めます。こゝの羊の肉はあまり上等でないが、牛肉はなか/\おいしかったのです。三口ぐらいの大きさの肉はめったにありません。
召使たちは、私が骨もろともポリ/\食べてしまうのを見て、ひどく驚いていました。それから、鵞鳥や七面鳥も、大がい一口で食べられますが、これはイギリスのよりずっといゝ味です。小鳥なんかは、一度に二十羽や三十羽は、ナイフの先ですくいあげて食べるのでした。
ある日、皇帝は私の食事振りを聞かれて、では自分も皇后、皇子、皇女たちと一しょに、私と会食がしてみたいと望まれました。そこで彼等が来ると、私はみんなテーブルの上の椅子に乗せて、ちょうど私と向き合うように坐らせました。そのまわりには、見張りの兵もついていました。
大蔵
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