A首を振り眉をしかめ、静かに右の前足を上げて、私の手を払いのけました。それから、馬は二三度いなゝきましたが、なんだかそれは独言でも言っているような、変ったいなゝき方でした。
すると、そこへもう一匹、馬がやって来ました。この馬はなにかひどく偉そうな様子で、前の馬に話しかけました。それから、二匹とも、静かに右足の蹄《ひづめ》を打ち合せると、代る/″\五六度いなゝきました。だが、そのいなゝき方は、これはどうも、普通の馬の声ではないようです。それから、彼等は私から五六歩離れたところを、二匹が並んで行ったり来たりします。それは、ちょうど、人間が何か大切な相談をするときの様子とよく似ています。そして、彼等はとき/″\私の方を振り向いて、私が逃げ出しはしないかと、見張っているようでした。
私は動物がこんな賢い様子をしているのを見て、大へん驚きました。馬でさえこんなに賢いのならこの国の人間はどんなでしょう。たぶんこゝには、世界中で一番賢い人たちが住んでいるのでしょう。そう思うと、私は早く家か村でも見つけて、誰かこの国の人間に会ってみたくなりました。それで、私は勝手に歩いて行こうとしました。
その
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