@と私は尋ねてみました。すると、彼は次のようなことを教えてくれました。
それはごく稀《まれ》なことですが、この国には、額の左の眉毛の上に、赤い円いあざ[#「あざ」に傍点]のついた子供が生れるのです。このあざ[#「あざ」に傍点]があると、この子供はいつまでたっても死なゝい、というしるしなのです。
このあざ[#「あざ」に傍点]は年とともに、大きくなり、色が変ってゆきます。十二歳になると、緑色になり、二十五歳になると、紺色に変り、それから四十五歳になると、真黒になりますが、それからはもう変りません。こんな子供が生れるのは、非常に稀で、全国を探しても、男女合せて千百人ぐらいしかいません。そしてそのうち、五十人ぐらいが、この首府に住んでいますが、そのなかには、三年前に生れた女の子も一人います。この死なゝい人間が生れるのは、全く偶然で、血統のためではないのです。だから、ストラルドブラグを親に持っていても、その子供は普通の子供なのです。
私は紳士からこの話を聞いて、何ともいえないほどうれしかったので、思わず、こう口走りました。
「あゝ、そんな人たちは、どんなに幸いでしょう。みんな人間は、死ぬこ
前へ
次へ
全249ページ中181ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
原 民喜 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング