へ渡りました。それからまた次々へと渡って行きました。そして五日目に、私はまだ見残していた島の方へ向いました。
 その島は、思ったより遠く、渡るのに、五時間もかゝりました。私はぐるりと島を一まわりしてみて、上陸するのに都合のいゝ所を見つけました。
 上ってみると、あたりは岩だらけで、たゞ、ところ/″\に、雑草や、香のいゝ薬草などが生えています。私は食物を取り出して、腹ごしらえをすると、残りは洞穴の中にしまっておきました。それから岩の上で卵を拾ったり、乾いた枯草を集めました。私は明日はひとつ、これに火をつけて、卵を焼いておこうと思いました。その夜は、食物をしまいこんだ洞穴に入って、拾い集めた枯草の上で寝ました。けれども、私は心配でなか/\眠れなかったのです。
 こんな無人島で、どうして生きてゆけるでしょう。いずれ私はみじめな死に方をしなければならないのです。こんなことを考えていると、私はぐったりしてしまって、立ち上る元気も出なかったのです。それでも、気を取りなおして、やっと洞穴から這い出ましたが、そのときには、もう日が高くのぼっていました。私はしばらく、岩の間を歩きまわりました。
 空に
前へ 次へ
全249ページ中146ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
原 民喜 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング