二階でおしめ[#「おしめ」に傍点]を洗ったその妻君や、人のいゝ酒屋の夫婦や。用が片づいたら、あの頃の日記でも出して読もう――。
「どうしたかしらたい子さん!」
「今度こそ幸福になったでしょう。小堀さん、とても、ガンジョウな人だそうだから、誰が来ても負けないわ……。」
「いつか遊びに連れて行ってね。」
「あゝ……。」
 二人は、下の叔母さんから借りた上蒲団をかぶって日記をつけた。
 一、拾参円の内より
[#ここから3字下げ]
茶ブ台      壱円。
箱火鉢      壱円。
シクラメン一鉢  卅五銭。
飯茶わん     弐拾銭  二箇。
吸物わん     参拾銭  二箇。
ワサビヅケ    五銭。
沢庵       拾壱銭。
箸        五銭   五人前。
茶呑道具 盆つき 壱円拾銭。
桃太郎の蓋物   拾五銭。
皿        弐拾銭 二枚。
間代日割り    六円。(三畳九円)
火箸       拾銭。
餅網       拾弐銭。
ニームのつゆ[#「つゆ」に傍点]杓子 拾銭。
御飯杓子     参銭。
花紙一束     弐拾銭。
肌色美顔水    弐拾八銭。
御神酒    
前へ 次へ
全228ページ中92ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
林 芙美子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング