っと見ていた。
その一ツ一ツのポーズのうちから、苦るしかった昔の激情を呼びおこした。
美しい朝あけである。
清水港が夢のように近かづいて来る。
船乗りのお上さんも悪るくはないな。
午前八時半、味噌汁と御飯と香の物で朝食が終る、お茶を呑んでいると、船員達が甲板を叫びながら走って行く。
「ビスケットが焼けましたから、いらっして下さい!」
上甲板に出ると、焼きたての、ビスケットを両の袂にいっぱいもらった。お嬢さん達は貧民にでもやるように眺めて笑っている。
あの人達は、私が女である事を知らないでいるらしい。二日目である、一言も声をかけてはくれぬ。
此船は、どこの港へも寄らないで、一直線に海を急いでいるのだから嬉しい。
料理人の人が「おはよう!」と声をかけてくれたので、私は昨夜寝られなかった事を話した。
「実は、そこは酒を積むところですから蚊が多いんですよ、今日は船員室でお寝なさい。」
此料理人は、もう四十位だろうか、私と同じ位の脊の高さなのでとてもおかしい。
私を部屋に案内してくれた。
カーテンを引くと押入れのような寝台である。
その料理人は、カーネエションミルク
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