遊びを見ていると、妙に切ぱ詰った思いになって涙が出た。どっかへ石をぶっつけてやりたいな。耳も鼻も頬も紅《あか》くした子供の群れが、束子《たわし》でこするようにキュウキュウ厭な音をたてて、氷の上をすべっていた。――一縷《いちる》の望みを抱いて百瀬さんの家へ行ってみる。留守なり。知った家へ来て、寒い風に当る事は、腹がへって苦しいことだ。留守居の爺さんに断って家へ入れて貰う。古呆けて妖怪じみた長火鉢の中には、突きさした煙草の吸殻が葱《ねぎ》のように見えた。壁に積んである沢山の本を見ていると、なぜだか、舌に唾が湧いて来て、この書籍の堆積《たいせき》が妙に私を誘惑してしまう。どれを見ても、カクテール製法の本ばかりだった。一冊売ったらどの位になるのかしら、支那|蕎麦《そば》に、てん丼《どん》に、ごもく寿司、盗んで、すいている腹を満たす事は、悪い事ではないように思えた。火のない長火鉢に、両手をかざしていると、その本の群立が、大きい目玉をグリグリさせて私を嗤《わら》っているように見える。障子の破れが奇妙な風の唄をうたっていた。ああ結局は、硝子《ガラス》一重さきのものだ。果てしもなく砂に溺《おぼ》れた私
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