萬葉の歌のお方も、あるひはかうした女の氣持だけをお詠みになつたのではあるまいか、戀草を力車に七車の歌をもんは思ひ出して、現實には本當の愛をつかみ得なかつた、女の雲のやうなむくむくした氣持を、もんはいまこそしみじみとなつかしく知つた。人を戀すると云ふことは猫や犬のやうであつてはいけないのだ……。もんは守一の膝に自分の廣いシヨールを掛けてやつた。



底本:「改造」改造社
   1941(昭和16)年9月1日発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:林 幸雄
校正:花田泰治郎
2005年6月27日作成
青空文庫作成ファイル:
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