さんがききました。みみずは赤いからだをくねくねうごかして、「もう、すぐそこにあるよ。」と教えてくれました。みみずは大きい龜さんをみて、どうもこのへんにはみかけない龜だとおもって、
「おじさんはどっから來たの。」
 とたずねました。龜さんは腰からタバコ入れを出してタバコを一ぷくつけて吸いました。
「わたしは遠いところから來たのだよ。汽車に乘ってね、二日もかかってここへ來たのさ。どこか働くところはないかと思ってね。」
「ふうん、おじさんは貧乏なんだね。」
「うん、貧乏なのさ、だから、うんと働いてお金をためてかえろうと思うのさ……。」
「何をして働くの。」
「そうだね、おひっこしの手傳い人夫でもしょうかと思ってるンだけどね。」
 みみずはおかしくなって笑いました。だって、のろのろしている龜のおじさんに、お引越しをたのむものはないだろうと思ったからです。
「わたしは朝から何もたべないのだよ。おなかがぺこぺこだけど、このへんに飯屋はないかね。」
「こんな田舍に飯屋なんてありゃアしないよ。ここは蛙縣の蛙村といって、この村へ來たからには、蛙の村役場に行って、とどけをするンだよ。」
「ほう、蛙村という
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