た。夜がふけてくるにつけ、今夜は月あかりなのでしょうか、海の底がぼおっと明るくなりました。
隣り村のたこさんの部落からもお祈りの声がしています。
魚の国ではどこの部落も、よく神様にお祈りをあげました。神様が、みんなを可愛がって下さるからです。
竜宮の鯛の王様も、お祈りが好きです。ひらめの学校からは、毎年、竜宮へ留学生を出しますけれど、しばらくして戻って来るひらめの学校の生徒は、みんな立派になって戻って来ました。
そして、いつでも村の為になることばかりしよう[#「しよう」は底本では「しょう」]と競走します。魚の国にはお金はないけれど、みんなよく働き、みんな仲よしでした。校長先生はいつも、眼鏡をかけたまま学校のなかをゆらゆら泳いでいらっしゃいます。本当に、その眼鏡はひらめ学校の校長先生にふさわしのものでした。
底本:「林芙美子全集 第15巻」文泉堂出版
1974(昭和52)年4月20日発行
入力:林 幸雄
校正:川向直樹
2004年4月29日作成
青空文庫作成ファイル:
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