しゃいました。
「今日は、みなさんを連れて、鯖村まで見学に行きます。みなさんが、いままでに見たこともない大きい怪物が天界から降って来たそうです。飛魚さんのようなかっこうをして、何だかものすごく大きくて動く事も出来ないものだそうです。」
小さいひらめの生徒は、わあっと声をあげてよろこびました[#「よろこびました」は底本では「よろこまびした」]。気の早い生徒はもう浮きたって、ごぼごぼと舞い上ってゆくものもありました。
体操の先生は、急に、ピリピリと笛を鳴らしました。
「あわてものは誰ですか、みんな二列に並んで、きちんと列をくずさないように泳ぐのですよ。この間みたいに、おこぜにいじめられると困るでしょう。いいですか、先生の後からしずかに泳ぐのですよ。鯖村では、村長さんがみんなに御馳走して下さるそうです。校長先生もいらっしゃるのですよ。鯖村まで、約二キロです。正しく列を組んで泳ぎましょう。」
ひらめの学校の生徒は、さあっと二列に並びました。校長先生が、大きい眼鏡をかけて出ていらっしゃいました。生徒はいっせいに、平べったい尻尾をひらひらとうち振って校長先生をお迎えしました。校長先生の眼鏡は
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