ゃんとよくみてやらなくちゃ何にもならないよ。肥料一つでとてもちがうんだぜ」
道理で、女生徒の畑は水ばかりじゃぶじゃぶかけているのでいやにひょろひょろしているけれど、僕たちの畑はとてもりっぱです。みんな金井君の指導です。
「第一、ものを植えるっていってもね、陽あたりのいいってことが一番大切なんだよ。木の下だの、一日ぢゅう陽のあたらないところは駄目、みんな、ところかまわず植えればいいってものぢやないものね。その次が肥料と手入れさ。肥料をやらなくちゃいいものは出来ないね」
このあいだも、なすを植える時、金井君は畑でどんどん火をたいて、その灰をよく土にまぶして、なすを植えつけました。水は一回もやらないのに、なすはぐんぐんそだっています。
なすの苗は、金井君が千葉のお百姓家でわけてもらって来たもので、とてもいい苗でした。
やみ屋になりたいという大谷君は、金井君のあとばかりくっついて、一生懸命に働きます。でも、時時、どっかで、いろんな種をあつめてきて、畑のすみに植えるので、金井君は時時大谷君をしかります。このあいだも、朝顔の種を持って来て、トマトの苗のところに植えました。そして、ダルマノメ
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