車之助を斬ると間もなく引き上げたものらしく、風呂場で手を洗った形跡があって、壁の破目板《はめいた》に、血で大書してあった。
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五番首   笠間甚八殿
六番首   日向一学殿
七番首   長岡頼母殿
八番首   博多弓之丞殿
九番首   峰淵車之助殿
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 喬之助と右近が、うなぎ畷の往還《おうかん》へ出《で》ると、物ものしい御用提灯の灯が闇黒《やみ》ににじんで、ぐるりと長岡の屋敷をとりまいている捕手の勢……さてはッ! ここでも亦乱闘を余儀なくされる、と、二人が再び剣をとって身がまえにかかると、
「出て来たぞ! 逃げろにげろ! 刃物《はもの》を持ってるから傍へよっちゃあいけねえ。とても生捕りには出来ねえから、みんな逃げろ、逃げろ……」
 捕者役人が刃物に恐れをなして逃げろにげろと叫んでいる。侍の斬込みである。刃物を帯びていることはきまりきっている。何も、逃げるために、今までわざわざ犇《ひし》と囲んで張り込んでいなくてもよさそうなものと、喬之助はフッとおかしさがこみ上げて来たが、その、しきりに逃げろにげろと呼ばっている声にかれは覚えがあった――。

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