りつぎ》水野出羽守、それに、若年寄の加納|遠江守《とおとうみのかみ》、米倉丹後守、安藤対馬守《あんどうつしまのかみ》、太田若狭守《おおたわかさのかみ》、それからこの平淡路守と脇坂山城守……謂《い》わば、まず閣議である。
その閣議の席に、喬之助のほうは埓《らち》が開《あ》きそうもないので、一まず閉門を許された脇坂山城が出て来て、開口一番、いきなり伊豆屋伍兵衛の油御用のことを言い出して、さきほどから、一同の苦笑を買うまでに、クドクド申し述べているのである。
油にしろ、蝋燭にしろ、お城御用には相違ないが、いうまでもなく雑用である。もっとも、毎夜毎夜大広間お廊下、お部屋お部屋へ立てつらねる燭台の油なのだから、一年二年と通算すればかなりの金額には上るけれど、それも何も、こんな席で論議さるべき問題では、勿論《もとより》ない。一同が、山城なにを言う。喬之助事件で長の閉門、気が顛倒《てんとう》いたし、いささか頭の調子が狂っているのではないかしら――と、真面目に相手にすることも出来ないといったように、みな擽《くすぐ》ったいような顔を見合って、山城守にばかり口を利かせて黙《だま》りこんでいると、要する
前へ
次へ
全308ページ中256ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
林 不忘 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング