くこの駕籠へお乗り!」
ここにいる喬様に、今すぐユックリ会える……園絵ははや涙ぐんで、言われるまま駕籠へうずくまる。駕籠|舁《か》きには委細《いさい》命じてあるから、ギイと上ってスタスタスタ、急ぎ行きかけるかと思うと、なかなか出ない。
殿《しんがり》の駕籠にいた茨右近、ヒョイと顔を出して見るてエと、知らずのお絃ちゃんが自分の駕籠へはいろうともしないで、かごに凭《もた》れてしきりにクシャンクシャン鼻をかんでいるので、
「やい、何をしてやんでエ! さっさと乗らねえか」
低声に叱咤《しった》した。お絃ちゃんは、湿《うる》み声だ。
「やかましいやい。泣いてるんだい」
「何をッ! 手前は何も泣くこたアねえじゃアねえか」
「うるさいねえ。あたしゃ情にほだされて――こんなに旦那のことを思ってる奥さん、ちょいと、まるで眼の色が変ったよ――ねエ、それにつけても、仲よくしようねえ」
「そうだ。もソッとおいらを大事にすることだ」
「大事にしてるじゃないか。これ以上大事にしたら、お前さんの命が保《も》たないよ」
駕籠屋の一人が口を入れた。
「テヘヘヘヘ、あっしアまだ独《ひと》り者なんだ、だいぶこてえや
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