んかを切ろうという物凄《ものすご》い姐御《あねご》。
こう三|拍子《びょうし》揃ったうえに、喬之助と右近、てんで見分けがつかないというのだから、まことに紛《まぎ》らわしい話で、いのちを狙われる十七人の身になってみると、それは、あんまりありがたい同盟ではなかったろう。
さて、喬之助の口から、妻の園絵への思いを聞かされた、茨右近と知らずのお絃は、粋《いき》な人間だけに、察しがいい。喬之助が、いま自分の家にいることを知らせて安心もさせ、また、次第によっては、園絵をこっそり帯屋小路の家へつれて来て、久しぶりに喬之助に会わせてやろうと、思い立つと、即座《そくざ》に何でも実行しないと気の済まない喧嘩屋夫婦である。
出しぬけに園絵をつれて来て、驚かしてやろうという肚《はら》だから、喬之助には黙って、ふたりで出かけた。
駕籠《かご》で出かける。
二梃の駕籠をつらねて、帯屋小路の家を出たのが、ちょうど夕方だ。江戸の入陽《いりひ》は、大都会の塵埃《じんあい》に照り映えて、茜《あかね》いろがむらさきに見える。鳶《とび》にでも追われているのであろう、空一めんに烏のむれが、高く低く群れ飛んでいた。
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