っくり[#「そっくり」に傍点]な男が一つ家に住んでいるんでは、まるで良人《おっと》が二人いるようなもので、知らずのお絃が困りはしないかということになるんだが、そこはよくしたもので、幾ら似ているといったところで、べつの人間には相違ないのだから、ちょっとした顔つき、身体の態度《こなし》で、お絃には容易に区別がついて、良人と間違えるなどという、そんなような心配は、まずないのである。
 喬之助は、右近とお絃のまえに、ああして戸部近江之介を斬《き》らなければならないことに立ち到った経過、いま全心身を挙げて一|復讐魔《ふくしゅうま》と化し、残余《ざんよ》の十七の生首《なまくび》を狙《ねら》っている自分の決心――それらを、細大《さいだい》洩《も》らさず物語って、
「唯《ただ》一つ気になりますことは、潜行以来《せんこういらい》、築土《つくど》八幡の拙宅へ立ち寄ることもならず――妻の園絵と弟琴二郎まで召し捕られ、拙者の居どころを吐《は》かせようと、きつい詮議を蒙《こうむ》っておるとのこと。もはや赦《ゆる》されて家へ戻ったことでござろうが、それを思えば、お察《さっ》し下され、右近殿。喬之助、断腸《だんちょ
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