がせを致したな。まま許せ、許せ」と笑って、それから満谷剣之助へ向い、「これはお役人、ただいまこの者が申すとおり、手前《てまえ》はその、茨右近でござる」
 立派に言い切ったから、金山寺屋が保証《ほしょう》することではあり、もうそれ以上|詮議《せんぎ》の要もあるまいと、かえって役人のほうが安心したくらいで、黒門町、これは徹頭徹尾《てっとうてつび》当方の間違いであったぞ、許せよ。なんかと、満谷剣之助、いい気もちにそりかえって、そのまま捕方《とりかた》をまとめて帰って行った。
 こうして、人ちがいという笑いで、その場は済んだのだったが、そうして委細承知《いさいしょうち》で救いの手を伸ばしておいて、知らぬ顔して帰って行く金山寺屋の音松のうしろ姿に、思わず掌《て》を合わせた壁辰とお妙――さては、二度の捕繩をあやうく逃れた当《とう》の神尾喬之助、あとで三人、あたまを捻《ひね》って考えた。
 今夜だけは、あの金山寺屋の取りなしで、ああして事なく治まったものの、とにかく、この家にこうしていることは、危険この上ない。お妙は、どう考えても、離《はな》しともない喬之助であったが、愛すれば愛するだけに、逮捕《た
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