と考えますが」
若侍は、取りつく島もなく、黙ってしまった。
「全く」
と別所信濃守は、うれい深げに腕組みをして、
「百姓は近年、なみなみならぬ困りようでございますが、穀種を他《た》から借り受けて、ようやく植えつけをすまし、本面《ほんづら》の額《たか》を手ずから作る者は、いたってすくないとのことです」
「実に窮乏の体《てい》に見えます。そこで、このたびの東照宮御普請は、各領その高々に応じて、人別で沙汰するようにするのですナ」
「殿、おそれながら……」
「日光山から四十里のあいだは、御修覆ができあがるまで、住民の旅立ち、その他すべて、人の出入りを禁ずることは、お山止《やまど》めと言って、これは先例のとおりです。各所に関所を設けて、この見張りを厳《げん》にせねばならぬ」
「さよう。それから、いっさいの雑役は、たしか宗門を改めたうえで、各村から人足を出させるのでございましたな」
「そうです。壮年組は二十五歳から五十歳まで、少青年組は十五歳から二十三歳までをかぎって、村々から人夫を取りたて、昼夜の手当と、昼飯料《ちゅうはんりょう》をとらせねばならぬ」
対馬守は、今度のお役につき調べたところ
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