引いたす場合は、御公儀のきこえもいかがかと案じらるるまま……」
なんかと、うまいことが書きつらねてあって、結局、峰丹波先生にとっては、これほど御迷惑なことはないであろうけれども、門弟一同の総意として御推挙申しあげるのであるから、どうぞどうぞお願いだから、この道場のあるじになっていただきたい――。
「……以上、道場総代、結城左京」
読み終わった彼、一統のほうへ向いておごそかに、
「さて、諸君! 峰先生を流師とあおぐことに、誰も異議はあるまいな?」
みんな黙って、いっせいに頭をさげた。と、そのとき、
「異議あるぞ」
どこからか、小さな声が……!
五
異議あるぞ!――という妙にこもった声が、しんとした空気をふるわせて、ハッキリと一同の耳にはいったから、さア、野郎ども、ぎょっとした。
膝に置いた両手で、そのまま袴をギュッとつかんで、思わず身をかたくしました。
誰よりも驚いたのは、当の丹波とお蓮様、左京の三人――その結城左京の手にしている口上書の紙が、恐怖にカサカサと鳴るのが、聞こえる。
ピンの落ちる音も、大きな波紋のようにひびくという静寂の形容はこういう息づま
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