ものでござるが」
 予定の計画ですから、お蓮様はいまさら驚くこともない。むしろ自分から出た陰謀だ。もしあの源三郎に、恋を感じてさえいなければ、永年の願望がやっときょう成就すると聞いて、お蓮様はどんなにかこおどりしたことでしょうが――運命の皮肉、先妻の娘萩乃の婿に迎えた源三郎を、こんなに、心ひそかにしたっている現在のお蓮さまとしては……。
「そうねえ。もう、そうするよりほか、ないだろうねえ」
「ナ、何を――今となって、何を言わるる!」
 丹波は……。
 この盛大な十方不知火流の道場とともに、お蓮様とも天下晴れて……だがお蓮様よりは、道場のほうがありがたいのが、丹波の本心です。しかし、それも、故先生の後釜に、お蓮様のもとへ入夫する形でこそ、道場も自然におのが懐《ふところ》へころげこもうというものですから、この土壇場へ来て、こうもにえきらないお蓮さまの態度を見せられては、
「出るところへ出て、拙者がこの口をひらこうものなら、同罪ですぞ、お蓮様」
 詰め寄りました。
 丹波も懸命です。

       三

 ものうい初夏の午後だ。はるか妻恋坂の下からのどかな余韻を引いてあがってくる、苗売りの
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