郎に陰膳すえて、道場方とにらみ合い――ふしぎな生活がつづいている。

       二

「御気分はいかがで」
 峰丹波は、大きなからだに入側《いりかわ》の縁をきしませて……表むきはどこまでも、御後室様と臣です。申し訳にそっと片膝ついて障子をあけながら、そう、面ずれの跡のどぎつい顔を、お蓮さまのお部屋へさしいれた。
 侍女をも遠ざけて、ただひとり。
 脇息《きょうそく》に、ほっそりした被布《ひふ》姿をよりかからせていたお蓮様は、ホッと長い溜息とともに、眉のあとの赤い顔をあげるのも、ものうそう……。
「何度も言うようじゃが、寝覚めが悪いねえ、丹波」
「またさようなことを――!」
 眼も口も、人の倍ほどもある大柄な丹波の顔に、すごい微笑《えみ》がみなぎって、
「お蓮様ともあろう方が、あんな青二才のことをいつまでも――はっはっはっは、イヤ、私はまるで胸がつかえるようなうっとうしい気持です。あっちへまいれば、萩乃様は萩乃様で、源三郎をおもって、シクシク泣いてばかりおいでになる。こっちへ来ればこっちで、あなた様が同じ源三郎をあきらめきれずに、この気っ伏せのありさま。どうもおもしろくない」
 と、
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