、それで元も子もなくなってしまう。掘り出す費用と、掘り出す財産と、ちょうどトントンなどというのでは、やりきれんからな」
「ハイ、おっしゃるとおりで」
「さすが思慮深い御先祖だけあって、埋めるときまでに、そこらの点も御考慮になったものとみえる、イヤ、恐れ入った。持つべきはいい先祖だな」
「恐れ入ります。ところで、ふしぎなことがございますので――」
よけいなことを言わせてはならないと、愚楽は大急ぎに、おっかぶせるように、
「それで、もはやその庭の隅をお掘りになったかな?」
「イエ、まだでございます。とりあえずこちら様へ、お礼言上に……」
「お礼? なんの、わしに礼を言うことがあるものか。――ウム、ナニ、自分の屋敷の隅なら、掘ろうと思えばいつでも掘れる。マア、そうあわてるにおよぶまいからな」
「ところが、ふしぎなことがございますので……」
主水正、まだやってる。
チェッ! 血のまわりの悪い親爺を、家老だなんて飼っておくもんだ。こっちの心づかいを察して、だまって掘り出しゃアいいのに――と愚楽老人は、ジリジリしながら、
「ふしぎ……とは、何がふしぎで?」
「ヘヘヘヘヘ、実はどうも、なんとも
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