あの、柳生の大財宝を秘めるというこけ[#「こけ」に傍点]猿《ざる》の茶壺だけは、永遠の疑問符だ。いまだに、どこかの古道屋に、がらくた[#「がらくた」に傍点]といっしょにほうり出されてあるのかもしれないが、一風宗匠なき今日、鑑定のくだしようもない。
 この日光造営が終わったとき、愚楽老人は殿中でニヤニヤして、大岡越前守へささやいたと言います。
「とにかく、大団円で結構じゃ。なかなか因縁の多い仕事じゃったが、何しろまあ、めでたく終わって重畳《ちょうじょう》じゃよ」
 越前守、クスッと笑って、無言でうなずいた。
[#地から1字上げ]五巻 了



底本:「林不忘傑作選5 丹下左膳(五) 日光の巻」山手書房新社
   1992(平成4)年9月20日初版発行
※「三方子《さんぼうし》」と「三方子《さんぽうし》」の混在は、底本通りにしました。
※「唐ケ原」、「程ケ谷」、「歌ケ浜」、「越ケ谷」の「ケ」を小書きしない扱いは、底本通りにしました。
入力:tatsuki
校正:地田尚
2003年2月26日作成
2003年5月11日修正
青空文庫作成ファイル:
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