吉思汗《ジンギスカン》 (虎の下になって戯れつつ、仰向けに寝たまま)おい、親《おやじ》! いい天気だなあ。でかけようじゃねえか。すこしは気持ちのいい戦争もさせてくれよ。
哲別《ジェベ》 合爾合《カルカ》姫は?
成吉思汗《ジンギスカン》 もう帰ったよ。
哲別《ジェベ》 それでは、いよいよ乃蛮《ナイマン》国へ――。
成吉思汗《ジンギスカン》 (がばと撥ね起る)うむ、進発だ!
哲別《ジェベ》 はっ。
[#ここから3字下げ]
と一隅から銅鑼を持ち出し、天幕の入口に立ってとうとう[#「とうとう」に傍点]と打ち鳴らす。天幕の外、にわかに騒然とし、武器の音、軍馬のいななき、蹄の響き、蒙古犬の吠え声。弟|合撒児《カッサル》を先頭に、忽必来《クビライ》、速不台《スブタイ》、小姓|巴剌帖木《パラテム》、その他参謀等多勢、厳《いかめ》しき武装にて馳せ入り、成吉思汗《ジンギスカン》の前に整列する。同時に、兵卒ら多勢走り廻って、ばたばたと天幕を畳めば、斡児桓《オルコン》河の向うに、抗愛山脈が旭に光り、舞台一面の広場となる。
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
成吉思汗《ジンギ
前へ 次へ
全94ページ中78ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
林 不忘 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング