をするものはあるか。うむ、これ、ちょうどよい。その高と申す女子《おなご》じゃ。高は一度死んだものである。よって僧侶の一空に屍《かばね》を引き取らせるが、一空は高を惣七に預けるがよかろう。
高、死んだ気になって、働け。よく惣七の世話をみるのじゃ。惣七はまた、高の身柄を受け取るのではない。高の中に宿っているおのれの世つぎを受け取るのじゃ。高はどうでもよかろうが、腹の子は、そちのものじゃ。致し方がないによって、高も、腹の子のいれものとして納めておけ。高の財産を管理して行くうえにも、そちの才腕と世つぎの子は、大切であろうぞ――立て」
底本:「巷説享保図絵・つづれ烏羽玉」立風書房
1970(昭和45)年7月10日第1刷発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
※新仮名から外れる表記も、意味を推し量れると判断したもの(「さかづき」「ひたひ」「加わつて」等)は底本通りとし、訂正も、ママ注記も行いませんでした。
入力:kazuishi
校正:久保あきら
2009年10月29日作成
青空文庫作成ファイル:
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