「ほんとにおせい様のおかげで助かりますでございますよ。いるところもないわたくしでございますからねえ」
お高がいうと、おせい様は、眼の隅からにらむようにして笑って、
「そんなことをおっしゃっても、あなたはお金があるのではございませんか」
「いくらお金があっても、あんなお金は使うのがいやでございますから、ないも同じでございますよ」
「それで、これからどうなさるおつもりでございますか」
「若松屋の旦那様は、あとから掛川へ来るようにとおっしゃって、おたちでございますけれど、行ったほうがいいか悪いか、わかりませんのでございます。おせい様がわたしでしたらどうなさいますか」
「それは大変むずかしいことをおききでございますねえ。ちょっと御返事ができませんでございますよ」
「そんなことはございませんよ。おせい様は、わたくしどものことは、何でもご存じでいらっしゃいますから」
「それに、お飾りの数を倍近くもくぐっているのでございますからねえ」おせい様は、しんみり笑い声をたてて、「でも、ひと様のことで御相談に乗る資格はございませんよ。自分がこんな馬鹿で、さんざん莫迦な目にあいながら、まだ――」
「磯屋のこと
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