家へ駈けつけることが必要だ。
 若松屋惣七は、さすがにお高のためによろこんで、すぐ江戸へ向かうようにせき立てた。おせい様といっしょに上方へ行けないのは残念でもあり、おせい様のことが気がかりでもあったが、しかし、歌子が同道するのだから、その点は心配しないでもよかった。
 お高は雑賀屋の久助に送られて、夜道をかけて小石川へ帰った。その足で金剛寺の洗耳房に一空さまを訪れると、出て来た一空さまは、しばらく会わなかった自分の娘を迎えるように上きげんだった。それはいつものことだが、この一空さまの態度には、吉報といったようなものを包んでいるところがあった。一空さまの細い眼が、奥へ引っ込んで見えなくなっていた。
「江戸一、いや、日本一の女分限者の御光来じゃな」一空さまは、剽軽《ひようきん》に頭をさげた。
「いやめでたいことじゃ。生きた証人が出て来ましたぞ。お前さまのことを、ようく知っておるのだ。おゆうさんと相良《さがら》うじが大阪に仮寓《かぐう》のころ、あんたに乳をふくませた乳母《うば》じゃとかいう。だいぶんおゆうさんの気に入りだったとみえて、柘植家のことにはかなり通じておるのみか、今もいうとおり、あ
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