につけて証人がいるといって、お駒ちゃんを呼びこんだ。
 お駒ちゃんは、まだ泣いていたとみえて、眼を真っ赤にして、白粉《おしろい》のはげた顔のまま出て来てすわった。お駒ちゃんは、磯五とお高が正式に夫婦別れをする、その証人だと聞かされても、きょとんとして二人をながめているだけだった。手を重ねて、不思議そうにふたりのすることを見物していた。
 離縁状と交換に磯五の手に証文の束が渡されると、磯五は、にやにやしながら、それを片ッ端から丹念《たんねん》に破きはじめた。
 お高は、突ったっていた。ふらふらと磯五のほうへ泳いで行った。磯五が、何だ? という顔を上げたとき、その頬へ、お高の第一の拳が飛んで行った。
「何をするのだ」
「何をするも、かにをするもありませんよ。いつか若松屋惣七さまがわたしの証文を破いたとき、お前さまは若松屋惣七さまをあんなにおぶちになったではありませんか」
「うむ、そうか。それでいまおれを殴《なぐ》るのか」
 お高の白い握りこぶしが、弱々しい弧《ゆみ》を描いて磯五の面上に降りつづけた。お高は、泣いていた。すすり泣きながら、一つ二つと数えるように磯五をぶっていた。磯五は、じっと
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