ざまに両肘をあずけてもたれかかったまま、立ち去ってゆくお高を見ていた。お高は、立ちどまって、腰をまげて、風にあおられる着物を押えていた。風を持てあまして、くるりと向きをかえた。磯五のほうを向いたのだ。磯五は、顎《あご》を引いて、えくぼを深くしながら、お高を見ていた。
お高は、頭髪《かみのけ》が顔へかかってきてしようがないので、それをもかきあげた。そういう乱れたところを、まじまじと男に見られるのがいやだったので、ついにっこり笑ってしまった。てれかくしに笑ったのだが、磯五も、すぐに笑いかえした。
「高音、そうけんけんいわずと、ここへ帰って来なさい。まだ、話があるんだ」
風が、その離れたところから、お高の声を運んできた。
「そのおはなしというのは知っていますよ。わたしはお駒さんではありませんからねえ。お前さまが勝つかわたしが勝つか、これからは、はっきり敵味方に別れて、智恵くらべをしましょうよ。お前さまが勝てば、わたしが負けるのでございますし、わたしが勝てば、お前さまが負けるのですよ」
「そういうことになりますかな」
「そうでございますよ」
「何をわかりきったことをいうのだ。おい、高音、こ
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