。好きな男のために、と。あははははは――おらそれが気に入らねえのだ」
三
「いったい何の御用でわたしをここまで呼び出したのでございます」
「おめえが拝領町屋へ出かけて行って、よけいなことを ようだから[#「 ようだから」はママ]、それをやめさせようと思って、急に出向いて来たのだ。わるいことはいわぬ。早々このことから手を引いたほうが、おめえのためだろうぜ」
「それこそよけいなお世話でございますよ。わたしは、お前さまのようなお人が、四方八方に迷惑をかけているのを、黙って見ているわけにはゆきませんでございますよ。手を引けなどと、よくもそんな虫のいいことがいえましたねえ」
「昔のよしみだ。なあ、高音、たがいに邪魔だけはしないことにしようじゃないか」
磯五がにっこりすると、ちらりと白い歯が走って、小指の先ほどのえくぼがあくのである。お高は、その顔を見ないように眼を伏せて、足もとの枯れ草をむしった。
「いやでございますよ。もうその手には乗りませんよ」
「一言いっとくぜ。後悔しねえようにな」
「おどかしはききませんよ」
と、いったものの、お高は、とうてい自分が、磯五の敵でない
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